太陽光発電の普及や、データセンターの増加を背景に、蓄電池への関心が高まっています。蓄電池は、電気を化学エネルギーに変えて蓄え、必要なときに取り出せる設備です。今回は、電力網につないで使う「系統用蓄電池」を中心に、その役割を紹介します。
1.余った電気を、必要な時間に使う
電力の安定供給には、発電する量と使う量を常に合わせる必要があります。太陽光は夜に発電できず、日中も天候によって発電量が変わります。晴れた日の昼間などには、使い切れない電気が生じ、発電を抑える場合もあります。
蓄電池は、こうした余剰電力を蓄え、需要が高まる夕方などに放電できます。また、充電・放電を素早く調節し、発電量と使用量のずれを埋める役割も担います。

2.原発が動いても、電気の使いどころを調整する必要がある
発電量を確保できても、発電する時間と電気を使う時間が合うとは限りません。
日本の原発は通常、一定の出力で運転されます。そのため、電力需要が少ない昼間に太陽光の発電が重なると、電気が余る場合があります。蓄電池は、その電気を別の時間帯に活用する手段の一つです。原発が動いていても、時間に応じて電気を融通する役割は残ります。
3.増える電力需要を支える備えにも
データセンターや半導体工場などの拡大により、今後は電力需要の増加が見込まれています。そこで重要になるのが、需要が高まる時間にも電気を供給できる体制です。
蓄電池は事前に充電しておくことで、必要な時間の供給を支えます。ただし、自ら新たなエネルギーを生み出す設備ではありません。蓄えられる量や放電できる時間には限りがあり、発電設備や送電網などと組み合わせて活用する必要があります。

4.事業として考えるなら、収入と費用を確認
系統用蓄電池には、主に三つの収入の仕組みがあります。電力のバランスを調整する対価、必要なときに供給できる能力への対価、そして安い時間に電気を購入し、高い時間に販売する価格差です。
ただし、利益は市場の価格や設置場所、設備費、運用費、電池の劣化などで変わります。充放電の際のエネルギー損失もあります。蓄電池の必要性が高まることと、個別の事業で利益が出ることは分けて考え、条件を確認することが大切です。
蓄電池は、電気を使う時間の選択肢を広げる設備です。ほかの電源や設備と役割を分担しながら、再生可能エネルギーの有効活用と、暮らしや産業を支える安定供給に貢献します。
