脱炭素社会に向けた国の太陽光発電推進政策とは?

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2050年脱炭素社会実現に向けてスタート!

地球温暖化や気候変動への対策が世界的な課題となる中、日本は2020年10月に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

この目標を実現するため、再生可能エネルギーの導入が不可欠であり、特に太陽光発電はその中核を担う存在です。​本記事では、日本政府が推進する太陽光発電に関する政策や取り組みについて詳しく解説します。

日本のエネルギー政策と太陽光発電の位置づけ

エネルギー基本計画と再生可能エネルギーの目標

日本政府はエネルギー政策の基本方針を定める「エネルギー基本計画」を策定しています。​2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年度の電源構成において再生可能エネルギーの比率を36~38%とする目標が掲げられ、そのうち太陽光発電は14~16%を占めるとされています。

​この目標を達成するためには、太陽光発電の累積導入量を103.5~117.6GWまで増やす必要があります。​

2050年カーボンニュートラル宣言

日本は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを宣言しました。​この長期目標の実現には、再生可能エネルギーの主力電源化が不可欠であり、太陽光発電のさらなる普及と技術革新が求められています。

太陽光発電推進のための具体的政策

自家消費型太陽光発電の導入支援

環境省は、民間企業や地方自治体が自らの施設の屋根や駐車場に太陽光発電設備を設置し、その電力を自家消費する「自家消費型太陽光発電」の導入を推進しています。

​この取り組みにより、CO2排出削減だけでなく、災害時の電力供給確保といった防災面での効果も期待されています。

オンサイトPPAモデルの推進

初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入できる「オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)」モデルが注目されています。​このモデルでは、第三者が所有する太陽光発電設備を自社の敷地内に設置し、発電された電力を長期契約で購入する仕組みです。

長期契約の年数は、15年~が多いようです。このオンサイトPPAにより、企業は初期投資なしで再生可能エネルギーを利用できます。

FIT制度からFIP制度への移行

日本では、再生可能エネルギーの普及を促進するために「固定価格買取制度(FIT)」が導入されてきましたが、2022年4月からは市場価格に連動した「フィード・イン・プレミアム制度(FIP)」が導入されました。

FIP制度は、再生可能エネルギー事業者が市場価格にプレミアムを上乗せした価格で電力を販売できる仕組みで、市場メカニズムを活用しつつ、再生可能エネルギーの導入を促進することを目的としています。

地域脱炭素移行・再エネ推進交付金

地域における再生可能エネルギー導入を支援するため、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」が設けられています。​この交付金は、地方自治体が地域の特性を活かした再生可能エネルギー導入計画を策定し、複数年度にわたって実施する取り組みに対して支援を行うものです。

これにより、地域経済の活性化と脱炭素化の同時達成が期待されています。

太陽光発電導入の成功事例

神奈川県横浜市のみなとみらい21地区

エネルギー需要の高いみなとみらい21地区では、市営住宅等を活用した太陽光発電の導入や、東北地方からの再生可能エネルギー電力の調達、大規模なデマンドレスポンス(需要調整)により、都市部の脱炭素化と競争力向上を図っています。

滋賀県米原市のソーラーシェアリング

滋賀県米原市では、耕作放棄地を活用してソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を実施しています。​農業と発電を両立させることで、地域の脱炭素化と農業の活性化に貢献しています。

福島県の再生可能エネルギー先進モデル地域

福島県では、東日本大震災後の復興の一環として、大規模な太陽光発電所や風力発電施設の整備が進められています。

特に、「福島再生可能エネルギー研究所(FREA)」では、新たな技術開発と実証試験が行われており、日本全体の再生可能エネルギー推進に寄与しています。

太陽光発電推進の課題と解決策

設置スペースの確保

都市部では、太陽光パネルを設置する十分なスペースが確保しづらいという課題があります。このため、ビルの屋上や遊休地の活用、さらには農業との両立を図るソーラーシェアリングといった手法が注目されています。

初期投資の負担

太陽光発電システムの導入には高額な初期投資が必要です。これに対して、政府の補助金や低利融資、オンサイトPPAモデルの活用が推奨されています。

特に、PPAモデルでは初期費用ゼロで導入できるため、中小企業や自治体にも普及が進んでいます。但し、PPAモデルは長期渡って契約が拘束されるため、時代にあった電力サービスの対応する自由度が乏しいです。

電力需給バランスの問題

太陽光発電は天候に左右されやすいため、発電量が不安定という課題があります。これに対応するため、蓄電池の導入やスマートグリッドの活用が進められています。

政府も「再エネ電力の安定供給」を目的とした支援策を強化しています。もうそろそろ蓄電池の初期投資も下がり、蓄電池の時代がやってくる兆しが見えてきました。

廃棄パネル問題

太陽光パネルの寿命は約20~30年とされており、今後大量の使用済みパネルの処理が課題となります。これに対応するため、リサイクル技術の開発や適切な廃棄処理の仕組みづくりが進められています。

現在、FIT期間20年のうち、10年が経過し「リパワリング(新品入替え)」が徐々に増えつつあります。2032年以降、大量に使用済みパネルが発生すると予測されておりますが、その前の段階でパネルとパワコンの最適化もされるのではないかと思っています。

今後の展望と企業・個人ができること

政策のさらなる強化

日本政府は今後も再生可能エネルギーの普及を推進するため、補助金制度の拡充や新技術の研究開発支援を行っていくと考えられます。また、電力市場の自由化を活かし、より多くの企業が再生可能エネルギーを活用できる環境づくりが進められています。

企業の取り組み

企業においては、RE100(再生可能エネルギー100%の電力使用を目指す国際イニシアティブ)への参加や、工場・オフィスでの太陽光発電導入が拡大しています。また、環境意識の高まりにより、脱炭素経営が企業価値を高める要因となっています。

特に「Scope1、2、3」のうち、「3」のサプライチェーンの間接的排出量のハードルは非常に高いのではないでしょうか。下請けに求められる脱炭素は製造元からの要求に応える時代が始まっています。

個人ができること

一般家庭においても、住宅用太陽光発電システムの導入が推奨されています。さらに、電力の「地産地消」を実現するため、地域の再生可能エネルギー事業を支援することも一つの選択肢です。

まとめ

脱炭素社会の実現に向け、日本政府は太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの推進に積極的に取り組んでいます。

制度改革や補助金の拡充、技術革新が進む中で、企業や個人も積極的に再生可能エネルギーを活用することが求められています。

これからの社会をより持続可能なものにするために、私たち一人ひとりができることを考え、行動していきましょう。

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この記事を書いた人

永輝商事ブログはじめました。環境とエネルギーなどの情報をみなさんにお届け致します。また、プラスになる情報がありましたらご紹介させて頂きますので、ぜひご覧になってください。

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