止まることが許されない現場に、電源の“自立性”を
当社に医療・福祉施設の皆様や取引先様からいただくご相談の多くは、「停電時、必要な設備を動かせるようにしておきたい」という切実なご要望です。
高齢者施設、病院、障がい者支援施設、クリニック。いずれも「電気が止まる=命に関わる」現場であり、施設運営の根幹には“電源の安定供給”が必須です。
近年、台風・地震・大雨による大規模停電は珍しいものではなくなりました。そのような中で、施設としてどうやって電力の“自立性”を確保するか。
この記事では、太陽光発電と蓄電池を活用した「止まらない施設づくり」の視点でお伝えしていきます。
現場の課題、設計ポイント、導入の選択肢までお伝えします。
レジリエンスとは何か──医療・福祉の現場に求められる力

レジリエンス(resilience)とは、外的な衝撃や災害に対して、機能を維持・回復する力を意味します。
医療・福祉の現場では、
「どんな状況でも、患者・利用者の命と尊厳を守ること」
が絶対条件です。
災害時の停電、物流の停止、パンデミックによるスタッフ不足など、どれも避けられない現実ですが、それでも現場は止まることができません。
レジリエンスとはつまり、「施設として止まらない力を持つこと」です。そしてその中心にあるのが、電力インフラの確保です。

非常時に最も脆弱になる“電力供給”
停電が引き起こす現場の危機
ここ数年でも、災害による大規模停電が全国各地で発生しました。
医療・福祉施設では以下のような事をお聞きしたりします。
- 人工呼吸器、吸引器などの医療機器が使用不能
- 電動ベッド・エレベーターが停止し避難困難に
- 冷蔵庫や冷凍庫が使えず薬品や食材が劣化
- 空調・加湿器が使えず健康リスクが増大
- 通信機器がダウンしナースコール・電話・ネットが不通に
- 夜間照明が使えず、転倒事故や混乱の危険性が増加
命に直結する機器が止まるということは、たった1時間の停電でも“致命的”になる可能性があるということです。
- 数時間〜1日で燃料切れになる
- 給油が災害時には届かないケースも多い
- 対応できるのは一部の設備だけ
- 音・排気の問題があり、設置が困難な地域も
- 定期点検をしていないといざというときに動かない
当社は、こうした“非常用電源の限界”をカバーする手段として、太陽光発電と蓄電池の導入をご提案しています。
太陽光発電+蓄電池が実現する「止まらない施設」づくり

自立分散型電源としての太陽光発電
太陽光発電は、電力会社の系統電源とは別に、施設自らが電気を生み出せるシステムを作ることが可能です。
- 屋根やカーポート、空きスペースを活用できる
- 外部からの送電に依存しない
- 災害時でも自立運転モードで稼働可能
- 電力コストの削減効果も期待できる
- CO₂を排出しないクリーンエネルギーで、ESG・SDGsにも貢献
導入された施設様からは、「安心感が全く違う」「停電時の心理的負担が軽減された」という声を頂きます。
蓄電池との連携で“夜間・停電時”も安心
太陽光発電だけでは夜間や雨天時に電力供給ができませんが、蓄電池を組み合わせることで夜間や停電時にも電気を供給できます。
停電時の電源方式:特定負荷型と全負荷型の違い
【特定負荷型】
停電時に選んだ一部の設備だけに電気を供給する方式。
メリット:
- コストを抑えられる
- 蓄電池の容量が小さくて済む
- 導入が比較的簡単(既存建物向け)
デメリット:
- 当たり前ですが停電中は通常のコンセントは使えません
- 事前に「何を動かすか」を明確に決めておく必要がある
医療・福祉施設では:
→ 小規模施設や、最低限のライフラインを確保したい場合に適しています。
【全負荷型】
施設全体の電気をバックアップする方式。
通常とほぼ変わらない業務継続が可能になります。
メリット:
- 停電を意識せず、普段通りのオペレーションが可能
- 職員も利用者もストレスが少ない
- 空調・給湯・エレベーターなども稼働可能
デメリット:
- 初期費用・工事規模が大きくなる
- 蓄電池容量の設計ミスで全体が停止するリスクも
- 創り出す発電量は太陽光パネルの設置面積により決定されてしまう
医療・福祉施設では:
→ 病棟・在宅療養支援型・災害拠点施設など、稼働の継続性が重視される施設に適しています。
但し、太陽光発電設備を設置できる面積が少ない、そもそも一部影の影響があり想定している発電量が見込めない場合、施設様のニーズを満たすことができません。
選ぶべきは“費用”ではなく“守るべきもの”
設備の選定は、「安いか高いか」ではなく、
“誰を、何を、どれだけの時間守りたいのか”
で決まります。
当社は、施設のBCP(事業継続計画)や運営体制に応じた最適設計をご提案し、実際の事業収支シミュレーションや補助金制度までパートナー企業と一緒に一括サポートすることが可能です。

設計・導入の流れと施設者側のチェックポイント
ヒアリング・目的設定
- どの設備を何時間稼働させたいのか?
- 停電時に最も優先される設備は?
- 電力消費量は?ピークはいつ?
設置環境の確認
- 屋根・敷地の日射条件、構造
- 設置スペースの有無(パネル・蓄電池)
負荷方式の選択(特定 or 全負荷)
- 現在の施設運営にどちらが適しているか
- 配線の改修の有無/コストとのバランス
補助金・税制優遇の適用可否
- 自治体・国の補助制度を活用
- 医療法人・社会福祉法人向けの特例もあり
職員研修・マニュアル整備
- 停電時の切り替え操作訓練
- 緊急時の対応マニュアル作成支援

太陽光は「環境対策」ではなく「命の備え」

医療・福祉施設にとっての太陽光発電は、もはや「環境配慮」のためだけのものではありません。
それは、
“止められない現場”を支える、命を守る電源。
としての役割を持ちます。そのためには、仕組みづくりが大切です。
- 停電しても医療機器が止まりにくい仕組みづくり
- 職員が停電時でも業務を継続できる仕組みづくり
- 利用者、患者、家族に安心を届けられる仕組みづくり
- 災害時の地域貢献施設としての機能も果たせる仕組みづくり
レジリエンスのある施設は、信頼される施設です。
当社は、医療・福祉の現場に最適なエネルギー活用を、パート企業と連携を取りながら、一気通貫でサポート致します。お気軽にお問合せください。