出力制御はいつから厳しくなったのか?|制度の切替日と本格運用の違い vol.1

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太陽光のセカンダリー案件を見ていると、こんな会話がよくあります。

  • 「この案件は、出力抑制は何日の案件ですか?」
  • 「無制限ルールの案件は、結局いつから適用なったんでしたっけ?」
  • 「2018年?2021年?2023年?」

この質問がややこしい理由は、「出力制御が厳しくなった」という言葉の中に、
2つの意味が混ざっている
からです。

実は、出力制御には最初から 2つの時間軸 があります。

目次

よくある誤解

「制度が変わった=すぐに厳しくなった」ではない

多くの人が、こう理解しています。

無制限・無補償ルールに切り替わった
= その年から出力制御が激増した

しかし、実務ではこれは必ずしも一致しません

  • 制度上は「止められる契約」になっていた
  • でも実際には、系統にまだ余裕があり、ほとんど止まらなかった

という期間が、エリアごとに数年単位で存在しています。

基本整理:出力制御は「2つの物差し」で見る

出力制御を整理するときは、必ず2つの物差しを分けて考えると分かりやすくなります。

制度としての切替日(契約ルールの話)

これは「契約上、どこまで無補償で止められるか」を決める物差しです。

国の制度としては、出力制御ルールは次の3つに分かれます。

  • 30日ルール(旧ルール):年間30日(または360時間)まで無補償で制御可能
  • 360時間ルール(新ルール):年間360時間まで無補償で制御可能
  • 無制限・無補償ルール:上限なしで無補償の出力制御が可能

この「どれに属するか」を決める基準日は、設備認定日や事業計画認定日ではありません。

基本は、「接続申込日(電力会社が本申込を受け付けた日)」
「認定出力(kW)」「電力会社エリア」のこの3点で決まります。

そして制度上の大きな節目は、

2021年4月1日以降、全国すべてのエリアで無制限・無補償ルールが適用可能になった

という点です。これはあくまで「契約条件が切り替わった日」です。

本格運用の開始時期(実務の話)

もう1つの物差しが、「実際に、そのエリアで出力制御が頻発し
始めたのはいつか?」のかです。

これは制度とは別に、「太陽光・風力の導入量」「系統規模」
「需要の季節変動」といった物理的な事情で決まります。

そのため、

  • 制度上は無制限でも、数年間ほとんど止まらなかったエリア
  • 制度変更後、かなり遅れてから一気に抑制が増えたエリア

が普通に存在します。

エリア別に見る「制度」と「本格運用」のズレ

セカンダリーや金融の実務でよく使われる感覚で整理すると、
おおむね次のように分けると説明しやすくなります。

  • 九州電力
    • 制度:2015年以降、無制限ルール対象案件が発生
    • 実務:2018年頃から 春秋の抑制が常態化
  • 北海道電力
    • 制度:2015年以降 無制限
    • 実務:2019年頃から 太陽光・風力ともに頻発
  • 沖縄電力
    • 制度:2021年4月から無制限
    • 実務:2020年頃から 系統規模の小ささで目立ち始める
  • 東北・中国・四国・北陸
    • 制度:2018年〜2021年にかけて無制限化
    • 実務:2022年頃から 事業リスクとして意識され始める
  • 東京電力PG・中部電力・関西電力
    • 制度:2021年4月から無制限
    • 実務:2023年以降 無視できないレベルで顕在化

ここで重要なのは、どの年を「厳しくなった」と呼ぶかは、
見ている物差しが異なるという点です。

セカンダリー・金融目線での考え方

案件評価では、こう分けて考えると整理しやすくなります。

契約リスク

  • この案件は30日/360時間/無制限のどれに属するか
    → 接続申込日・出力・エリアで判断

実務リスク

  • このエリアではすでに出力制御が「当たり前」になっているか
    → 2018〜2024年のエリア別実態を見る

たとえば九州の案件であれば、「契約上も無制限」「実務上も毎年抑制あり」
という 最も厳しい組み合わせ になります。

一方、関西の古い案件であれば、「契約上は上限付き」「実務での本格化は比較的最近」
という評価になることもあります。

まとめ

「いつから厳しくなったか」は、1つの答えではない

出力制御については、

  • 制度の切替日: 契約上、どこまで止められるかの境目
  • 本格運用の開始時期: 実際に事業リスクとして効き始めた時期

この2つを必ず分けて説明することが重要です。

セカンダリーの検討や金融説明では、

「この案件が属する契約ルール」と「このエリアがどの運用フェーズにあるか」

この2軸で整理することで、過度に悲観もせず、楽観もしない説明が可能になります。

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この記事を書いた人

永輝商事ブログはじめました。環境とエネルギーなどの情報をみなさんにお届け致します。また、プラスになる情報がありましたらご紹介させて頂きますので、ぜひご覧になってください。

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