太陽光の出力制御について説明する場面で、必ず出てくる質問があります。
- 「この案件の接続申込日はいつですか?」
- 「設備認定日ではダメなんですか?」
- 「結局、30日・360時間・無制限のどれなんですか?」
このあたりが曖昧なままだと、セカンダリー評価や金融説明で前提がズレることになります。
この記事では、出力制御ルール判定で使われる『接続申込日』とは何を指すのかを、
制度論ではなく実務で使う判断軸として整理します。

よくある誤解
接続申込日=設備認定日、ではない
まず一番多い誤解です。
- 設備認定を取った日が基準
- 事業計画認定が下りた日が基準
しかし、出力制御ルールの判定において、これらは直接の基準ではありません。
FIT/FIPの認定は、「いくらで」「何年間」「買い取ってもらえるか」
を決める制度です。一方、出力制御ルールは、
「系統につなぐ契約として、どこまで無補償で止められるか」
という、電力会社との接続条件の話です。
この2つは、そもそも決めている対象が違います。
結論:接続申込日とは何か

出力制御ルール判定でいう「接続申込日」とは、
電力会社が、その発電設備について、系統連系の“接続契約申込(本申込)”を正式に受け付けた日
を指します。
ポイントは、「開発者が書類を出した日」「メールを送った日」ではなく、
電力会社側が「申込受付日」として記録した日である、という点です。
接続申込には段階がある
ここが実務上の混乱ポイントです。
多くの案件では、次のような流れをたどります。
- 接続検討申込
- 系統につなげるかどうかを検討してもらう段階
- 出力制御ルール判定には使われない
- 接続契約申込(本申込)
- 工事費負担金・条件を前提に契約を申し込む
- この受付日が「接続申込日」
- 接続契約締結
- 工事・運転開始
つまり、「検討申込」ではなく「本申込の受付日」が基準です。
出力制御ルールは何で決まるのか
実務で見るべき要素は、次の3つです。
- 接続申込日
- 認定出力(kW)
- 電力会社エリア
設備認定日・事業計画認定日は、この3要素には直接含まれません。
エリア別:出力制御ルールの切替時期一覧

以下は、「その日以降に接続申込を行った案件が、どのルールに属するか」を整理した一覧です。
エリア | 旧ルール(30日)適用の接続申込 期限 | 360時間ルール 適用期間 | 無制限・無補償 ルール適用開始 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道電力 | 2015年1月25日迄 | ― | 2015年1月26日 以降 | 全国でも早期に 無制限化 |
| 東北電力 | 2014年9月30日迄 | ― | 2014年10月1日 以降 | 最も早く 無制限化 |
| 九州電力 | 2015年1月25日迄 | ― | 2015年1月26日 以降 | 2015年申込分から無制限前提 |
| 東京電力PG | 2015年1月25日迄 | 2015年1月26日~2021年3月31日 | 2021年4月1日 以降 | 30日→360時間→無制限 |
| 中部電力 | 2015年1月25日迄 | 2015年1月26日~2021年3月31日 | 2021年4月1日 以降 | |
| 関西電力 | 2015年1月25日迄 | 2015年1月26日~2017年1月23日 | 2017年1月24日 以降 | 比較的早期に 無制限 |
| 北陸電力 | 2015年1月25日迄 | 2015年1月26日~2018年7月11日 | 2018年7月12日 以降 | 風力含め指定 ルール本格化 |
| 中国電力 | 2015年1月25日迄(一般的整理) | 2015年1月26日 以降段階的に適用 | 2018年頃~2021年に順次 | 公表資料が やや複雑 |
| 四国電力 | 2015年1月25日迄 | 2015年1月26日~2018年7月11日 | 2018年7月12日 以降 | |
| 沖縄電力 | 2015年1月25日迄 | 2015年1月26日~2021年3月31日 | 2021年4月1日 以降 | 実務顕在化 遅め |
表を見るときの注意点
- この表は制度上のルール切替日を示したもの
- 実際の適用は、接続申込日(本申込受付日)・出力・個別契約条件で判断されます
- 「無制限化=その年から抑制が頻発」ではありません
認定はどう関係するのか(間接的な位置づけ)
設備認定・事業計画認定は、「FIT/FIP単価」「買取期間」「稼働期限」を決める制度です。
ただし、認定を取るためには、「接続同意書」「接続契約」が必要になる
ケースが多く、「どの年度の認定を狙ったか」→「いつ接続申込をしたか」という形で、
行動のタイミングに影響します。
ただし、ルールそのものを決めているわけではありません。
具体例で見る判定

例1:2014年設備認定の案件(九州)
- 設備認定:2014年10月
- 接続申込日:2014年11月
- 出力:50kW以上
→ 判定基準は2014年11月の接続申込日
→ 旧ルール側に属する
例2:2016年開発案件(九州)
- 接続検討申込:2015年
- 接続契約申込受付日:2016年2月
→ 判定基準は2016年2月
→ 無制限・無補償ルール
セカンダリー・金融への説明の仕方
実務では、こう整理すると説明が通ります。
- 「この案件の接続申込日は〇年〇月〇日です」
- 「出力は△kW、エリアは××電力です」
- 「したがって、出力制御ルールは旧ルールに属します」
そのうえで、
- エリアとして抑制が常態化しているか
- 運転開始時点でどの運用フェーズか
を別軸で評価します。
まとめ

接続申込日は「契約条件を決める日」
- 出力制御ルールを決める基準: 接続申込日・出力・エリア
- 認定が決めるもの: 単価・期間・期限
接続申込日とは、
「この発電所は、どれくらい無補償で止められてもいい契約なのか」
を決める、最重要の日付です。
ここを押さえておくだけで、セカンダリー評価や金融説明の精度は大きく変わります。