介護施設が直面する「72時間の壁」とは
「72時間の壁」とは、大規模災害が発生した際に、救助や支援が本格化するまでの72時間をどう乗り切るかという課題を指します。
特に介護施設では、高齢者や要介護者が多数いるため、電力や水、食料の確保が生死を分ける重要な要素になります。
72時間が重要な理由

災害時の初動対応
大規模災害時には、道路が寸断され、救助活動や物資供給が遅れることが一般的です。特に高齢者が多く生活する介護施設では、避難行動が迅速に行えないため、施設内での自給自足体制が求められます。
電力の確保が命を守る
介護施設では、医療機器やエアコン、給湯設備など電力を必要とする設備が多くあります。停電が長引くと、以下のような深刻な影響が出る可能性があります。
- 人工呼吸器や吸引器の使用ができなくなる
- エアコンが使えず、熱中症や低体温症のリスクが高まる
- 給食サービスの停止による栄養不足
- トイレや入浴の衛生環境の悪化
介護施設における電力確保の重要性
非常用発電機の導入
施設内に非常用発電機を設置することで、一定時間の電力供給が可能になります。燃料が確保されていれば、災害発生後72時間を乗り切ることができます。

※至誠電工社(非常用LP発電機メーカー:昭栄)と連携を取りながら進めさせて頂きます。
太陽光発電+蓄電池の活用
近年では、太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、非常時の電力供給を補う施設も増えています。これにより、長期間の停電にも対応しやすくなります。
燃料の備蓄
発電機があっても、燃料が不足すれば意味がありません。72時間を超える停電に備えて、十分な燃料の備蓄が必要です。
施設ごとの災害対策のポイント

自治体との連携
自治体や防災機関と事前に連携をとることで、緊急時の支援を円滑に受けることができます。避難計画や物資供給のルートを明確にしておくことが重要です。
職員の防災訓練
災害時に適切な行動を取れるよう、職員向けの防災訓練を定期的に実施することが大切です。特に停電時の対応手順を明確にし、非常用電源の操作方法を習得することが求められます。
入所者と家族への周知
災害時の対応について、入所者や家族に事前に説明し、理解を得ることが重要です。家族と連絡を取る手段を確保し、緊急時の対応策を共有しておくと安心です。
まとめ
介護施設における「72時間の壁」を乗り越えるためには、電力の確保が不可欠です。非常用発電機や太陽光発電、燃料の備蓄など、多角的な対策を講じることで、災害時でも入所者の安全を守ることができます。
日頃からの準備と防災意識の向上が、施設全体の危機管理能力を高めることが大切です。