JC-STARについて調べ進めると、多くの人が最後に
行き着くのが次の疑問です。
- 結局、これは義務なのか任意なのか
- 自分は気にすべき立場なのか、そうでないのか
制度の概要や対象領域を理解したあとでも、
ここが整理できないと、「動くべきか/静観すべきか」
の判断ができません。
この記事では、JC-STARを白黒で切るのではなく、
立場別にどう考える制度なのかという視点で整理します。
まず結論から:一律の「義務・任意」では整理できない

最初に明確にしておきたいのは、JC-STARは現時点(2026年1月21日時点)では
「すべての系統用蓄電池に一律で義務づけられている制度」ではない
という点です。
一方で、「完全に無関係」「知る必要がない制度」でもない
というのも事実です。
JC-STARは、「法令のように一律強制する制度でも、
単なる任意ラベルで終わるとも限らない制度」という、
中間的な性格 を持っています。
そのため、「義務か任意か」ではなく、「誰にとって、どの場面で前提になるか」
で考える必要があります。
JC-STARが想定している基本的な役割
JC-STARの根底にある考え方は、サイバーセキュリティ対策の
有無や水準を、共通の物差しで示すことです。
これはつまり、
- 発注者が「何を基準に比較すればいいか分からない」
- 事業者が「どこまで対策していると言えばいいか分からない」
という状態を減らすための判断材料の整理 です。
したがって、JC-STARは「守らないと罰せられる制度」ではなく、
説明責任や比較検討の場面で効いてくる制度と捉える方が実態に近いでしょう。
誰が気にすべき制度なのか(立場別整理)

系統用蓄電池の事業者・開発主体
最も影響を受けやすいのが、系統用蓄電池を 事業として成立させる立場 です。
- 系統接続
- 市場取引
- 他者との連携運用
といった場面では、「セキュリティをどう考えているか」が
前提条件として問われる可能性があります。
この立場では、今すぐ対応するかどうか以前に、
説明できる状態かどうかが重要になります。
機器メーカー・システムインテグレーター
PCS、EMS、遠隔監視システムなどを提供する側は、
JC-STARを将来の仕様条件の一つになり得る制度
として捉えておく必要があります。
- 「どのレイヤーを自社が担っているのか」
- 「セキュリティ要件は製品仕様か、運用前提か」
こうした整理ができていないと、発注者との
認識ズレが起きやすくなります。
投資家・ファイナンス・審査側
意外と見落とされがちですが、長期運用を前提とする
系統用蓄電池では、リスク評価の一部としてセキュリティが
見られる可能性があります。
JC-STARは、その際の「共通言語」「参考指標」
として使われる余地があります。
「今すぐ対応すべきか」を判断するための視点
判断の分かれ目は、次のような問いに集約できます。
- 外部ネットワークと常時接続しているか
- 遠隔から出力・制御が可能か
- 複数設備を一元管理しているか
- 第三者に説明責任を負う立場か
これらに YESが多いほど、JC-STARを
「無関係な制度」として扱いにくくなります。
逆に、NOが多い場合は、優先順位を下げる判断も合理的 です。
まとめ:JC-STARは「判断を迫る制度」ではなく「判断を助ける制度」

JC-STARは、「やる・やらない」を即断させる制度ではありません。
むしろ、
- どんな前提で
- どんな構成で
- どんな責任分担で
系統用蓄電池を運用しているのかを、整理して説明するための補助線 です。
義務か任意かで悩む前に、「自分は、誰に対して、何を説明する立場なのか」
そこを整理することが、最も実務的な向き合い方と言えるでしょう。
