EV充電器を法人で導入しようとすると、「デマンドに影響します」と
説明されることがあります。
しかし、そもそもデマンドとは何か。なぜ基本料金に関係するのか。
ここが曖昧なまま検討が進んでいるケースは少なくありません。
デマンドとは、一定時間内に使用した電力の最大値(最大需要電力) のことです。
多くの法人契約では、この最大値が基本料金を決める基準になります。
つまり、「どれだけ使ったか」よりも、「一番多く使った瞬間が
どれくらいか」が重要になる仕組みです。
デマンドはどうやって決まるのか

一般的に電力会社は30分単位で電力使用量を計測し、
その月の最大平均電力を記録します。
例えば、
- 空調
- 業務機器
- 照明
- 厨房設備
が同時に動いている時間帯に、6kWのEV充電を開始すると、
その30分間の平均値が上がります。
その値が月内最大になれば、契約内容によっては翌年の
基本料金算定に影響します。
ここが「想定より固定費が上がった」と感じる理由です。
EV充電はなぜ影響しやすいのか
EV充電は、充電中ほぼ一定出力で稼働します。
6kW充電であれば、その時間帯は安定して6kWの負荷が追加されます。
特に注意が必要なのは、
- 昼間充電を想定している
- 既にピークが高い施設
- 契約容量に余裕が少ない
場合です。
逆に、夜間に限定するなど運用を分ければ、影響を抑えられる
ケースもあります。
重要なのは設備出力ではなく、ピーク時間帯との重なり です。
太陽光発電設備を導入するとデマンド対策になるのか

太陽光発電は、発電中の購入電力を減らします。
そのため、昼間ピークと発電時間が重なれば、デマンド抑制に
寄与する可能性があります。
ただし、
- 曇天や雨天
- 夕方以降
- 負荷が発電量を超える場合
には補いきれません。
太陽光は“補助的な対策”であり、確実なピーク制御には蓄電池や
負荷制御との組み合わせが必要になります。
実務編 デマンドデータはどうやって確認するか
ここが最も重要です。
「影響するかもしれない」では判断できません。
必要なのは実際のデータです。
デマンドデータの入手先
確認先は主に次のいずれかです。
- 契約している電力会社
- 電気保安管理会社(キュービクル管理会社など)
- 電力会社のWEB会員ページ
高圧・特別高圧契約の場合、月別最大需要電力の記録が
残っているのが一般的です。
電力会社によっては、EXCELデータで頂ける場合もあります。
低圧契約でも、明細書やWEB管理画面で確認できる場合があります。
確認すべきポイント
単月の数字だけを見るのでは不十分です。
最低でも、
- 直近12か月の最大需要電力
- 月ごとのピーク発生時間帯
- 季節変動(夏冬ピーク)
を確認します。
例えば、「夏の午後にピークが集中している」場合、昼間充電は
影響が出やすいと判断できます。
一方、「夜間にピークが出ていない」なら、夜間充電は安全性が
高いと考えられます。
重要なのは、ピークの“時間帯”と“余裕幅”です。
契約電力が100kWで、最大需要が常に95〜98kWで推移しているなら、
6kW追加は影響が大きい可能性があります。
逆に、80kW前後で推移しているなら、余裕があると判断できます。
まとめ デマンドを知れば判断は具体化する

法人電力契約では、「使用量(kWh)」「最大需要電力(kW)」は別物です。
EV充電や太陽光導入を検討する際に重要なのは、「年間のピーク推移」
を把握することです。
感覚ではなく、データを確認する。
それだけで、契約変更が必要かどうかの判断は大きく変わります。
デマンドを理解することは、単なる用語理解ではなく、
設備投資のリスク管理そのものと言えます。