「違いは分かった。では、うちの場合はどちらなのか。」
ここで止まっている担当者は少なくありません。
自家消費もPPAも、どちらも“再エネ導入”という括りでは同じです。
しかし実務上は、判断の軸がまったく異なります。
今回は、総務・設備担当が押さえるべき「4つの分岐点」で整理します。

電力使用量は将来も安定しているか

まず最も重要なのは、拠点の存続と電力需要の安定性です。
自家消費の場合
設備を保有するため、仮に操業縮小しても資産は残ります。
売却や移設という選択肢も理論上はあります。
PPAの場合
10〜20年の長期契約が一般的です。使用量が大きく減ると、
契約条件との不整合が生じる可能性があります。
拠点統廃合の可能性がある場合、契約設計は慎重に行う必要があります。
社内で設備投資は通るか
再エネ導入は、「コスト削減策」と見るか「設備投資」と
見るかで扱いが変わります。
自家消費
資産計上されるため、投資回収年数やROIが問われます。
財務部門のハードルは比較的高い傾向があります。
PPA
初期投資が不要なケースが多く、費用契約として扱われます。
そのため、導入までの意思決定が比較的スムーズな場合もあります。
ただし、契約期間は重い。“通しやすいが縛りは長い”という側面があります。
何を優先するのか

ここが最も本質的な分岐点です。
電気代を最大限下げたいのか
→ 自家消費の方が有利になりやすい傾向があります。(補助金活用や電力単価上昇が前提)
価格変動リスクを抑えたいのか
→ PPAは単価固定により、将来予算の見通しを立てやすくなります。
「安さ」なのか、「安定」なのか。
この整理が曖昧なまま比較すると、社内説明が難しくなります。
メンテナンスと責任の所在
自家消費は原則として自社責任。O&M契約を結ぶ場合もありますが、
最終責任は所有者側です。
PPAは事業者側が保守を担うのが一般的です。
ただし契約内容次第です。
設備トラブル時の対応負担をどこまで社内で持てるかも現実的な論点です。
単純比較が危険な理由

「どちらが得か」という比較は、前提条件によって大きく変わります。
- 電力単価の将来推移
- 補助金制度の有無
- 屋根耐荷重や設置制限
- 会計処理の扱い
- 税務上の整理
条件が揃わないまま金額比較すると、誤った判断につながることがあります。
実務担当者が最初にやるべきこと
比較表を作る前に、まず整理すべきは次の3点です。
- 拠点の中長期存続計画
- 現在の年間電力使用量と負荷パターン
- 社内の投資判断基準(回収年数など)
ここが曖昧だと、どの提案を受けても判断できません。
まとめ

コーポレートPPAと自家消費の違いは「所有か契約か」だけではありません。
判断の本質は、「需要の安定性」「投資余力」「優先目的(削減か安定か)」「社内体制」
この4点に集約されます。
再エネ導入は流行ではなく、長期的な経営判断です。
まずは自社条件を整理する。そこから初めて、
比較が意味を持ちます。