電池の種類と用途を徹底解説|産業用・系統用の違いと選び方ガイド

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電池とは?今注目される理由

かつて「電池」といえば、家庭用の乾電池や自動車用バッテリーを指すものでした。しかし、現在では「蓄電池」が再生可能エネルギーの安定運用、電力の需給調整、そして脱炭素社会の実現に不可欠な社会インフラとして急速に普及しています。

日本政府は2050年カーボンニュートラル達成を掲げ、太陽光や風力などの再エネ導入を進めています。しかし、自然エネルギーは天候による出力変動が激しく、その調整に蓄電池が欠かせません。

電池の主な種類とその特徴

現代の電池は、目的に応じて複数の種類が使い分けられています。以下では代表的な4種類をご紹介します。

リチウムイオン電池

  • 特徴:高エネルギー密度、充放電効率が高く、長寿命・小型軽量
  • 用途:スマホ、EV、住宅、産業用、系統用(大容量化が進行)
  • 備考高出力で瞬時の放電に優れ、JEPXや需給調整市場との相性が良好

現在のメイン蓄電池!

鉛蓄電池

  • 特徴:低コスト、安全性が高く、信頼性が高い
  • 用途自動車、UPS(無停電電源装置)、非常用設備

NAS電池(ナトリウム硫黄電池)

  • 特徴:大容量・長寿命、高温で動作可能
  • 用途:産業用、系統用の大規模蓄電設備

日本ガイシは、長年手がけてきたNAS電池(ナトリウム硫黄電池)の製造・販売から撤退することを2025年10月31日に決定しました。

レドックスフロー電池

  • 特徴:出力と容量を独立に設計可能、超長寿命
  • 用途:系統安定化、長時間の出力保持が求められる場所

将来期待できるレドックスフロー電池!

電池の用途別分類|家庭用・産業用・系統用

電池は利用シーンごとに使い方や必要な機能が異なります。以下に主な分類と適合する電池の種類をまとめました。

用途主な目的適した電池の種類
家庭用自家消費・災害対策リチウムイオン電池
産業用電力コスト削減・BCP対策リチウムイオン電池、NAS電池
系統用電力需給調整・周波数安定化リチウムイオン電池、NAS電池、レドックスフロー電池

産業用電池とは?役割・メリット・導入シーン

定義と特徴

産業用電池は、工場、物流拠点、商業施設などで使用される蓄電設備です。太陽光発電との連携や、電力ピークの制御、災害時のバックアップ電源として導入が拡大中です。

代表的な活用目的

  • ピークカット/シフト:契約電力の抑制や電気料金の最適化
  • 非常用電源BCP対策としての非常時対応
  • 再エネ自家消費:日中発電した電気を夜間に活用

系統用電池とは?電力インフラを支える技術

定義と役割

系統用電池とは、電力系統(グリッド)に直接つながる大規模蓄電システムのこと。特に、再エネ導入拡大によって電力需給が不安定になりやすい今、電池が「電力の緩衝材」として重要な役割を担っています。

導入される主な場所

  • 発電所・変電所
  • 再エネ大量導入地域(例:九州、東北、北海道など)
  • 周波数制御が求められる系統区域

活用される電池

以前はNAS電池やフロー電池が主でしたが、現在では価格競争力や高速応答性を備えたリチウムイオン電池の採用が急増しています。

産業用と系統用の違いを比較

項目産業用電池系統用電池
規模数百kWh〜数MWh数十MWh〜数百MWh
導入主体民間企業(工場、ビル等)電力会社、送配電事業者、自治体など
主な目的電力コスト削減、BCP、再エネ自家消費需給調整、周波数維持、系統安定化
電池の種類リチウムイオン、NASリチウムイオン、NAS、レドックスフロー
経済性比較的短期で投資回収が可能長期の運用視点が必要

電池導入が進む背景と現在の市場

政策と制度支援

  • グリーントランスフォーメーション(GX)政策により、蓄電池を活用する再エネ導入が国策レベルで
    推進中
  • 補助金や税制優遇、系統接続支援など、導入コストを下げる支援策が拡大

系統用電池のビジネスフィールド:3大市場

JEPX(日本卸電力取引所)

  • 概要:電力のスポット価格が取引されるマーケット
  • 戦略:安価な時間帯に蓄電 → 高価格帯に放電・売電する「アービトラージ」
  • 蓄電池の強み:応答速度の速いリチウムイオン電池で最大限の利益化が可能

需給調整市場(調整力市場)

  • 目的電力需給バランスの維持。急な変動に対応する「調整力」を提供
  • 蓄電池の役割
    • 一次調整力(FCR)として周波数制御
    • 二次・三次調整力として需給対応
  • 将来性:アグリゲーション(複数電源の束ね)との連携で収益化が拡大

容量市場

  • 目的将来に向けて「供給力」を確保する市場
  • 報酬対象:一定期間の出力保証ができる電源に対して支払われる
  • 蓄電池の特徴:短時間の高出力対応が可能で、将来の主力選択肢に

技術革新と価格低下

  • リチウムイオン電池は過去10年で約80%の価格低下
  • モジュール化・標準化が進み、導入・運用のハードルが大幅に低減
  • 全固体電池・ナトリウムイオン電池などの次世代技術も進行中

分野が異なる蓄電池ビジネス

蓄電池は、もはや「電気を貯めるだけの装置」ではなく、電力を効率的・戦略的に活用するためのビジネス資産となりました。

  • 産業用:電力コスト削減・BCP対策・再エネ活用
  • 系統用:電力インフラの安定化、需給調整、アービトラージによる収益化

さらに、系統用蓄電池のJEPX・需給調整市場・容量市場という3大ビジネスフィールドの整備により、蓄電池の導入は“社会貢献”だけでなく“収益性”を伴う選択肢に進化しています。

企業・自治体・事業者が電池導入を検討する際は、制度活用・市場参加・目的明確化を前提に、最適なタイプとスケールを見極めることが成功の鍵となります。

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この記事を書いた人

永輝商事ブログはじめました。環境とエネルギーなどの情報をみなさんにお届け致します。また、プラスになる情報がありましたらご紹介させて頂きますので、ぜひご覧になってください。

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