電気が「ない」問題は、もう過去の話ではない
世界には再生可能エネルギーが広がり、太陽光や蓄電池の技術も成熟してきました。それでもなお、電力に安定してアクセスできない人は今も数億人規模で存在しています。
一方、日本のような電力インフラが整った国では、「無電化」という言葉は現実味が薄いかもしれません。しかし実際には、日本でも毎年のように台風や地震、豪雪などによる広域停電が発生しています。
ここで見えてくるのは、「電気がない国」と「電気がある国」の単純な二分では説明できない現実です。
無電化は「ゼロかイチか」の問題ではない

無電化というと、「電線が来ていない」「電気を一切使えない」状態を想像しがちです。しかし現場では、もっとグラデーションのある問題として存在しています。
たとえば、
- 電気は通っているが、停電が日常的に起こる
- 夜間や雨季はほとんど使えない
- 家庭用の照明はあるが、医療機器や冷蔵設備は動かせない
- 電気はあるが、調理は薪や炭に頼っている
こうした状態も、実質的には「電力アクセスが十分とは言えない」状況です。WHOなどが指摘する「クリーンなエネルギーへのアクセス不足」は、電気の有無ではなく、使える質の問題だと言えます。

再生可能エネルギーがあっても解決しない理由
太陽光発電やオフグリッド電源は、無電化地域の有力な解決策として期待されてきました。実際、学校や診療所に電気を届けた成功事例も多くあります。
それでも無電化が減りきらない理由は、技術以外の壁にあります。
維持・運用を担う人と仕組みが不足している
太陽光設備は設置して終わりではありません。
- 故障時の修理
- 部品交換
- バッテリーの寿命管理
これらを担う人材や資金の仕組みがなければ、数年で使われなくなります。設備があっても「動かない」状態は、現場では珍しくありません。
電力インフラは「国家の仕組み」に依存する
送配電網の整備、料金制度、補助金、治安。これらはすべて政策や行政能力に左右されます。
特にサブサハラ・アフリカや一部アジア地域では、
- 政策の継続性がない
- 投資が長期で回収できない
- 電力会社の経営が不安定
といった構造的な問題が、電化の足かせになっています。
日本の停電が示す「電気がある国の弱点」
ここで、日本の状況を見てみます。日本は世界でも有数の電力インフラを持つ国ですが、それでも
- 大規模災害時には数日〜数週間の停電
- 山間部や離島では復旧が遅れる
- 電力に依存した生活が一気に機能不全になる
という事例を何度も経験しています。
これは、「電気がある国」でも集中型インフラに依存しすぎると、脆さを抱えることを示しています。
無電化地域と日本は正反対に見えて、実は「電力の安定性」という点では同じ課題を共有しています。
各国で進む「分散型電源」への転換

そのため近年、各国で注目されているのが、
- ミニグリッド
- 太陽光+蓄電池
- 地域単位の分散型電源
といった仕組みです。これは無電化地域だけでなく、
- 災害対策
- エネルギー安全保障
- コスト変動リスクの低減
といった理由から、先進国でも導入が進んでいます。無電化対策と防災対策が、同じ延長線上にあるという見方もできます。
無電化が減らない本当の理由
無電化問題が解決しきらない理由を整理すると、
- 技術はあるが、運用と制度が追いつかない
- 電気があっても、使える質が担保されていない
- 集中型インフラは、安定と引き換えに脆さを持つ
という点に集約されます。
つまり、「発電すること」よりも「使い続けられる仕組みを作ること」が本質です。
まとめ:無電化は遠い国の話ではない

無電化地域の問題は、単なる途上国の課題ではありません。
- 日本の停電
- 災害時の電力確保
- エネルギーの分散化
これらはすべて、同じ問いにつながっています。
電気をどう作るかではなく、どう支え、どう残すか。無電化が減らない理由を理解することは、
自分たちのエネルギーの使い方を見直す視点にもなります。