ファーム型接続とノンファーム型接続の違いとは?再エネ拡大と系統用蓄電池の関係も整理

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「ノンファームになります」と言われたとき、どう判断すればいいのか?

再生可能エネルギーの開発を進める中で、「この案件はノンファーム型接続になります」と説明を受けるケースが増えています。

ファーム型の方が“安心”と聞くこともあれば、最近はノンファームが主流だという話もある。

結局のところ、

  • 何が違うのか
  • 収益にどの程度影響するのか
  • どちらが自社に合っているのか

が分かりにくいのが実情ではないでしょうか。

この記事では、制度の優劣ではなく「考え方の違い」と「事業判断の分岐点」を整理します。

まず押さえるべき本質的な違い

両者の違いは、シンプルに言えば次の通りです。

  • ファーム型接続=送電保証型
  • ノンファーム型接続=空き容量活用型
項目ファーム型接続ノンファーム型接続
送電の保証契約容量内で送電可能系統の空き容量に応じて
送電可能
出力制御基本的になし系統混雑時に出力制御あり
接続の容易さ系統容量次第で制約あり条件付きで接続が容易
設備増強必要な場合あり基本的になし

ファーム型接続とは

契約した容量の範囲内であれば、原則として送電が保証される方式です。出力制御のリスクが比較的低く、収益予測を立てやすい特徴があります。

一方で、系統容量に余裕がない場合は接続が難しく、増強費用が高額になる可能性もあります。

ノンファーム型接続とは

系統に空きがある時間帯は送電できるものの、混雑時には出力制御を受ける可能性がある方式です。

増強工事なしで接続できるケースが多く、再エネ導入拡大の現実的な解決策として全国展開されました。

現在は、多くのエリアでノンファーム型が標準的な扱いになりつつあります。

「ノンファーム=不利」は本当か?

誤解されやすい点ですが、ノンファーム型=必ず大きな損失が出る、というわけではありません。

出力制御の頻度は

  • 地域
  • 電圧階級
  • 系統混雑状況
  • 再給電方式の有無

によって大きく異なります。

実際には、想定より制御率が低いエリアもあれば、一定割合の制御を織り込んだ事業設計が必要な地域もあります。

つまり重要なのは、「制度の名称」ではなく「制御前提での収支設計」です。

再エネ拡大とノンファーム型の関係

再エネ導入量が増えるほど、系統容量の制約が顕在化します。

従来のファーム型だけでは、空き容量がない=接続不可、という状況が増えていました。

そこで導入されたのがノンファーム型接続です。

既存の系統を最大限活用しながら、再エネの受け入れ量を増やす仕組みとして設計されています。

現在の制度運用を見ると、「再エネを増やすための前提インフラ」としてノンファーム型が位置付けられていると言えます。

系統用蓄電池との関係

ここ数年、急速に増えているのが系統用蓄電池ビジネスです。


実は、その多くがノンファーム型接続です。

理由は明確で、

  • 出力制御が発生する時間帯は電力が余っている
  • 余剰電力を吸収する役割を担える
  • 再給電方式との親和性が高い

という構造にあります。

今後は、「再エネ発電」「ノンファーム型接続」「系統用蓄電池」がセットで議論されるケースが増えていくと考えられます。

発電単体で考えるのではなく、「系統全体の需給調整の中でどう機能するか」という視点が重要です。

どちらが向いているかを判断する分岐点

収益の安定性を最優先するか

長期固定収入を前提にしたファイナンスの場合、送電保証のあるファーム型が評価されやすい傾向があります。

出力制御率を織り込めるか

エリア別の制御実績や想定制御率を確認し、それでも採算が合うかを試算する必要があります。

系統増強費を負担できるか

ファーム型にこだわることで、高額な増強費が発生し、採算を圧迫するケースもあります。

事業スピードを優先するか

ノンファーム型は接続機会が広がるため、早期運転開始を重視する事業者には現実的な選択肢となります。

現在の傾向

再生可能エネルギーの普及に伴い、多くの発電所が系統接続を希望していますが、系統容量の制約から接続が難しいケースが増加しています。

この問題を解決するため、2019年に東京電力パワーグリッドの千葉・鹿島エリアでノンファーム型接続の試行が開始され、2021年1月13日から全国へ展開されました。

引用元: ​再エネをもっと増やすため、「系統」へのつなぎ方を変える/資源エネルギー庁

ノンファーム型接続の適用により、既存の系統容量を最大限活用し、再生可能エネルギーの導入拡大が期待され、現在では、多くのエリアでノンファーム型接続が標準化されつつあります。

具体的な空容量や適用条件は、

  • OCCTO公開情報
  • 各一般送配電事業者の系統空容量マップ

で確認する必要があります。

制度は毎年のように運用が見直されるため、最新情報の確認は不可欠です。

エリア別の接続傾向や最新の情報

近年では、特に太陽光発電や風力発電においてノンファーム型接続の導入が加速していますが、特定の地域や電力会社で「ファーム型接続を希望したい」場合は、事前に系統空き情報(OCCTOや電力会社HPで公開)を確認するのが重要です。

北海道電力エリア(ほくでんネットワーク)

北海道電力では、系統アクセスに関する各種制度の概要を公開しています。

ノンファーム型接続の適用:​2023年2月1日以降に接続検討を申し込む電源、または2023年4月1日以降に接続検討申し込みが受け付けられる電源は、すべてノンファーム型接続が適用されています。​

系統空き容量情報:詳細な系統空き容量情報は、ほくでんネットワークの公式ウェブサイトで提供されています。最新の情報を確認するため、以下のリンクをご参照ください。​

東北電力エリア(東北電力ネットワーク)

ノンファーム型接続の適用状況:東北電力ネットワークでは、系統混雑時の出力制御を前提としたノンファーム型接続の適用を拡大しています。 ​

系統空き容量情報:詳細な系統空き容量情報は、東北電力ネットワークの公式ウェブサイトで提供されています。

以下のリンクをご参照ください。​

北陸電力エリア(北陸電力送配電株式会社)

ノンファーム型接続の適用状況:北陸電力送配電では、2023年4月1日より、10kW未満の低圧を除く全ての電源に対してノンファーム型接続の適用を拡大しています。 ​

系統空き容量情報:系統の予想潮流や空容量に関する詳細情報は、北陸電力送配電の公式サイトで公開されています。

以下のリンクからご確認ください。​

東京電力エリア(東京電力パワーグリッド)

ノンファーム型接続の適用状況:東京電力パワーグリッドでは、すでに多くのエリアでノンファーム型接続が標準化されており、全国初の実証試験も千葉・鹿島エリアで実施されました。現在は空き容量状況に応じて柔軟なノンファーム型対応を行っています。

系統空き容量情報:空容量に関する最新情報やノンファーム型接続対象エリアは、

以下のページでマップ表示されています。

中部電力エリア(中部電力パワーグリッド)

ノンファーム型接続の適用状況:中部電力パワーグリッドでは、空き容量の
ない基幹系統や、受電電圧が基幹系統の電圧階級である電源に対して、
ノンファーム型接続の適用を拡大しています。

系統空き容量情報:系統の予想潮流や空容量をマッピング形式で提供しています。

最新の情報は以下のリンクからご確認いただけます。

関西電力エリア(関西電力送配電)

ノンファーム型接続の適用状況:関西電力送配電では、2023年4月よりローカル系統へのノンファーム型接続を開始し、空き容量マップの色分け凡例および留意事項が変更されています。

系統空き容量情報:流通設備建設計画や系統連系制約に関する情報は、

以下のリンクからご確認いただけます。

中国電力エリア(中国電力ネットワーク)

ノンファーム型接続の適用状況:中国電力ネットワークでは、ノンファーム型接続の適用を拡大しており、系統空容量マップを公開しています。 ​

系統空き容量情報:詳細な系統空容量マップや系統構成に関する情報は、

以下のリンクからご確認いただけます。

四国電力エリア(四国電力送配電)

ノンファーム型接続の適用状況:四国電力送配電では、2022年4月以降、一定条件を満たすすべての新規電源に対してノンファーム型接続を原則適用しています。対象は、受電電圧が基幹系統の電圧階級である電源や、空容量がないエリアのローカル系統などです。

系統空き容量情報:空容量に関する情報やノンファーム型接続適用条件などは、

以下のページから確認できます。

九州電力エリア(九州電力)

ノンファーム型接続の適用状況:九州電力送配電は全国でも先進的な運用を行っており、ノンファーム型接続を広範に導入しています。さらに、2022年度より出力制御の最適化を目的に「再給電方式」を導入し、電源の柔軟な制御運用を実施中です。

系統空き容量情報:九州電力では、基幹系統およびローカル系統の空容量マップを含む情報を

下記サイトで提供しています。

沖縄電力エリア

ノンファーム型接続の適用状況:沖縄電力では、N-1電制やノンファーム接続など、系統への受け入れ容量の拡大に取り組んでいます。

系統空き容量情報:沖縄電力管内(本島)の空容量マッピング(132kV線路、66kV線路、変電所、配変)に関する情報は、

以下のリンクからご確認いただけます。

まとめ

ファーム型とノンファーム型は、優劣の問題ではなく「事業条件との相性」です。

まず整理すべきなのは、

  • 想定出力制御率
  • 接続電圧階級
  • 金融条件
  • 系統増強費の有無

制度名だけで判断せず、再エネ拡大と系統全体の動きを踏まえて設計することが、
これからの事業判断ではより重要になっていきます。

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この記事を書いた人

永輝商事ブログはじめました。環境とエネルギーなどの情報をみなさんにお届け致します。また、プラスになる情報がありましたらご紹介させて頂きますので、ぜひご覧になってください。

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