電源工事が不要な設備が注目されている理由とは?
最近、オフィスや店舗、公共施設などの現場で「電源工事不要」をうたう機器や設備が増えてきました。
防犯カメラ、センサーライト、IoT機器、電子看板、エアタッチスイッチなど、電気を使う機器でありながら工事をせずに使えるという利便性が、多くの現場で高く評価されています。
しかし、実際に設置を行う「電気工事業者」や「設備導入を検討している担当者」にとって、この「電源工事不要」が具体的にどのようなメリットをもたらすのか。
この記事では、現場視点での利点をわかりやすく解説していきます。
電源工事とは?基本をおさらい

まず、「電源工事」とは何かを簡単におさらいしておきましょう。
電源工事とは、機器を動作させるための電力を供給する設備(コンセントや配線)を設置・変更・延長する作業のことを指します。
これには資格が必要で、一定の規模以上の工事には電気工事士の資格を持ったプロが関与します。
電源工事にはこんな手間がかかる
- 配線ルートの確認・開通
- 壁や天井への穴あけ
- 分電盤からの電源引き回し
- 壁内配線やモール施工などの仕上げ作業
つまり、電源工事が必要な場合、技術・道具・時間・コストがかかるわけです。
電源工事が不要な製品とは?
では、電源工事が「不要」とはどういう意味でしょうか?
これは、あらかじめ内蔵バッテリーやソーラーパネルなどで稼働する仕組みが整っており、電源を引き込まずに使用できる製品のことを指します。

代表的な「電源工事不要」の製品例
- ソーラー式防犯カメラ
- USB充電式センサーライト
- 電池式のスマートロック
- ワイヤレスの人感センサー
- モバイルバッテリー対応のIoTデバイス
これらは配線不要で、必要な場所に設置してすぐに使えるのが特徴です。
電源工事不要の3つの大きなメリット

電源工事不要であることには、3つの大きなメリットがあります。
メリット①:設置のスピードが圧倒的に速い
電源工事が必要な場合は、現場調査や図面作成、管理者との調整、施工日程の確保など、多くの工程が発生します。
一方、電源工事不要であれば、機器を置くだけ、貼るだけ、取り付けるだけというレベルで、即日設置・即日稼働が可能です。ソーラー街路灯は、基礎を作りその上にポールを立てます。
メリット②:施工コストを大幅に削減できる
配線作業や材料費、人件費を削減できるため、トータルコストが大きく圧縮されます。特に複数台設置する場合や、天井や壁の高所に施工が必要な場合は、その差は歴然です。
メリット③:建物を傷つけない
穴をあけたり壁を削ったりする必要がないため、既存建物の美観や構造を損なわずに設置できます。賃貸物件や文化財、商業施設など、改修制限のある場所でも活用できます。
電気工事業者にとってのメリット
一見、電源工事が不要になると「工事の仕事が減るのでは?」と心配する声もあります。しかし、実際には電気工事業者にとっても多くの利点があります。
メリット①:現場作業の効率化
小規模な作業や設置のサポートをスピーディーにこなせるようになり、案件の回転率が向上します。従来よりも1日にこなせる仕事量が増える可能性があります。
メリット②:新たな付加価値提案が可能に
「電源工事不要」の製品を使った提案型営業ができるようになります。
例:
「この照明はソーラー式なので、外構にも簡単に設置できます」
「電池式のセンサーなら、配線不要で移動も可能です」
こうした提案ができると、クライアントからの信頼もアップします。
メリット③:人手不足対策にもなる
電気工事業界は慢性的な人手不足ですが、電源工事不要製品を使えば1~2人で完結できる作業が増えるため、現場の負担軽減につながります。
設置する側(ユーザー)にとってのメリット

設備を導入する側、つまり企業や施設の管理者、一般ユーザーにとってもメリットは多数あります。
メリット①:導入のハードルが低くなる
電源工事が必要な場合は、オーナーへの申請や日程調整、管理組合との協議など、導入までに多くの障壁があります。
電源工事が不要であれば、その場で設置できる気軽さがあり、導入までのスピードが段違いです。
メリット②:場所を選ばず使える
電源の取りにくい場所(屋外、天井裏、倉庫、庭など)でも設置可能。
「ここに電源があればなぁ…」という悩みを解消できます。
メリット③:運用・保守がしやすい
バッテリー交換や充電だけで済むため、メンテナンスが簡単です。
故障時にも、配線をいじらずにすぐ交換できるため、ダウンタイムも最小限に抑えられます。
よくある誤解と注意点
ただし、「電源工事不要」には注意点もあります。
- バッテリー切れのリスクがある(定期的な確認が必要)
- パワーの大きい機器には不向き
- ソーラー式は天候に依存する
これらの点を踏まえ、設置場所や用途に応じた選定が重要です。
これからの電気工事のあり方とは?

電源工事が不要な製品が増えていく中で、電気工事の役割そのものも進化していくでしょう。
従来の「配線施工」だけでなく、「電源工事不要製品の活用提案」「スマート機器の初期設定」「電源管理や電力最適化のコンサルティング」など、より付加価値の高いサービスへとシフトしています。
まとめ
電源工事不要という選択肢は、設置側・施工側の双方にとって多くのメリットがあります。
- 設置のスピードと柔軟性が大幅にアップ
- 工事コストを削減でき、場所を選ばない
- 電気工事業者の新しい価値提案が可能になる
今後、建設現場やリノベーションの現場では、「まずは電源工事不要で検討する」という流れが当たり前になるかもしれません。
現場での実務や提案に関わる方は、ぜひこうした製品の活用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。